App Notes / 2026 ・ No.01

Docker Desktop 使い方ガイド

役割と仕組み、画面の操作、似たアプリとの使い分け、使いこなすための基礎知識

公開

Docker Desktop のコンテナ詳細画面。kiji-web という名前の nginx コンテナが実行中で、Logs タブに nginx の起動ログが並んでいる
Docker Desktop で nginx のコンテナを動かしたところ。この記事では、この画面にたどり着くまでの操作を順に紹介します(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日)

このブログに新しく「ソフトウェア」のカテゴリーを作りました。よく使うアプリを一つずつ取り上げ、
画面を見ながら使い方を紹介していきます。一本目は、開発者の定番 Docker Desktop です。
この記事の画面はすべて、筆者の Mac で実際に操作して撮ったもので、操作する場所に ①②③ の番号を書き込みました。
役割と仕組み、基本の言葉、画面ごとの使い方、似たアプリとの使い分け、そしてうまく使いこなすコツまで、順に見ていきます。

一

Docker Desktop とは

Docker Desktop は、Mac・Windows・Linux のパソコンで Docker を使うための「全部入り」アプリです。Docker 社が作っていて、インストールすると、コンテナを動かすエンジンから、コマンド、画面(ダッシュボード)まで一式がそろいます。

「コンテナ」は、アプリと、それが動くのに必要なもの(OS の部品、ライブラリ、設定)をひとまとめにした箱です。箱ごと動かすので、だれのパソコンでも、サーバーでも、同じように動くのが強み。コンテナそのものの考え方は、開発ガイドのDocker 入門と実践で詳しく書きました。この記事は、その Docker を手元のパソコンで使うためのアプリの話です。

Docker Desktop の中身

あなたの Mac/Windows ダッシュボード この記事の画面 コマンド(CLI) docker docker compose docker buildx kubectl Linux の仮想マシン Docker Engine dockerd containerd コンテナ Kubernetes 必要なら有効化 API おまけの機能(あとの章で紹介) Scout 脆弱性の確認 拡張機能 Extensions Gordon AI の助手 Model Runner AI モデル MCP Toolkit AI の道具箱

画面で押したボタンも、コマンドで打った命令も、最後は同じ Docker Engine に届きます。どちらで操作しても結果は同じです

  • Docker Engine ── コンテナを実際に動かす本体。サーバーの Linux で使われているものと同じ
  • コマンド一式 ── docker、複数のコンテナをまとめて動かす docker compose、イメージを作る docker buildx、Kubernetes 用の kubectl など
  • ダッシュボード ── この記事で紹介する画面。コンテナ・イメージ・ボリュームの一覧と操作、ログの確認、設定
  • そのほか ── 1台で試せる Kubernetes、脆弱性を調べる Docker Scout、拡張機能、AI の助手 Gordon、AI モデルを動かす Model Runner など

前身は、2016年に登場した「Docker for Mac」と「Docker for Windows」です。それまで Mac や Windows で Docker を使うには、自分で仮想マシンを用意する必要がありました。これをインストールするだけで使えるようにしたのが始まりで、のちに Docker Desktop という名前にまとまり、Linux 版も加わりました。

CORE

Docker Desktop の役割は、「手元のパソコンを、すぐにコンテナが動く開発環境にすること」。そして、見えにくいコンテナの状態を画面で見えるようにすることです。本番のサーバーで動かすためのものではありません。

二

仕組み:裏で小さな Linux が動いている

コンテナは、もともと Linux のカーネル(OS の中心部)の機能で動きます。Mac や Windows のカーネルにはその仕組みがないため、Docker Desktop は裏で小さな Linux の仮想マシンを動かし、その中で Docker Engine とコンテナを動かしています。

OS ごとの仕組み

Mac Apple 仮想化 標準・安定 Docker VMM ベータ・Apple シリコン QEMU など 旧方式・非推奨 設定 > General で選ぶ Windows WSL 2 おすすめ Hyper-V Pro 以上 Windows コンテナ Pro 以上で切替 WSL 2 は Linux の実行環境 Linux Docker Desktop 中で仮想マシン Docker Engine 直接入れる (VM 不要) サーバーはこちら Linux は元からコンテナ可 コンテナは Linux の機能。Mac・Windows では裏で小さな Linux が動く だからメモリや CPU、ディスクの「上限」を設定で決められる(九章)

Mac の仮想マシンの種類は 設定 > General で選べます。Docker VMM は高速化を狙った新方式で、執筆時点ではベータです

この仕組みを知っておくと、次のことが腑に落ちます。

  • メモリやディスクを食う ── 裏で Linux 一台分が動いているから。上限は設定で決められる(九章)
  • パソコンのフォルダの読み書きが遅いことがある ── パソコンと仮想マシンの間でファイルを受け渡しているから(十三章)
  • コンテナの IP アドレスには直接届かない ── コンテナは仮想マシンの中のネットワークにいるから。外から使うには「ポートの公開」をする(三章)
  • Apple シリコンの Mac では、Intel 向けイメージが遅い ── 仮想マシンの中は ARM の Linux。Intel(amd64)向けのイメージはエミュレーションで動かすことになる
三

使いこなすための基本の言葉

画面の操作に入る前に、Docker の言葉を押さえておきましょう。ここが分かれば、画面のどこに何があるかも自然に分かります。

イメージ・コンテナ・ポート・ボリューム

レジストリ Docker Hub など イメージ 読み取り専用の層 pull push 書き込み層 コンテナ 1 書き込み層 コンテナ 2 run ブラウザ 8080 → 80 ポートの公開 ボリューム 消えないデータ置き場 イメージ アプリと動く環境をまとめた「型」。読み取り専用 コンテナ イメージから作った「実物」。止めても消すまで残る ボリューム コンテナを消しても残るデータ置き場 ポート パソコンの番号 → コンテナの番号 へ転送
言葉意味たとえると
イメージアプリと動く環境をまとめた、読み取り専用のファイル一式料理のレシピと材料のセット
タグイメージの版の名前。nginx:stable-alpine の「stable-alpine」の部分。省略すると latestレシピの版
レジストリイメージの置き場。代表は Docker Hub。社内に置くこともあるレシピの図書館
コンテナイメージから作った実行中(または停止中)の実物。1つのイメージから何個でも作れる作った料理
レイヤー(層)イメージは層の重なり。同じ層は使い回されるので、2つ目からは速く・小さく済む共通の下ごしらえ
ポートの公開パソコンの番号(例 8080)をコンテナの番号(例 80)につなぐ。-p 8080:80店の入口の案内
ボリュームコンテナを消しても残るデータ置き場。Docker が管理する冷蔵庫
バインドマウントパソコンのフォルダを、そのままコンテナに見せる方法家の棚を貸す
ネットワークコンテナ同士をつなぐ仮想の LAN。同じネットワークなら名前で呼び合える厨房の内線
Dockerfileイメージの作り方を書いたテキストレシピそのもの
Compose複数のコンテナの組み合わせを compose.yaml に書いて、まとめて動かす仕組みコース料理の献立表

中でも大事なのが「コンテナは使い捨て」という感覚です。コンテナの中に書き込んだデータは、コンテナを消すと一緒に消えます。残したいデータは、ボリュームかバインドマウントに置く。この区別は八章でもう一度見ます。

四

入手と料金(ライセンス)

Docker Desktop は公式サイト(docker.com)から入手します。Mac は Apple シリコン用と Intel 用で入手するファイルが分かれています。

OS主な条件(執筆時点の公式ドキュメント)
MacmacOS の最新版と、その前の2世代まで。メモリ 4GB 以上。Docker.dmg を開き、Docker をアプリケーションフォルダにドラッグして起動
WindowsWindows 10(22H2 以降)/ Windows 11(23H2 以降)の 64 ビット版。WSL 2 か Hyper-V を使う。BIOS/UEFI で仮想化を有効に。メモリ 8GB
LinuxUbuntu・Debian・Fedora などの主要な配布版向けのパッケージがある

注意したいのは料金です。Docker Desktop は、だれでも無料というわけではありません。

使う人料金
個人・教育・非商用のオープンソース無料(Personal)
従業員 250人未満 かつ 年間売上 1,000万ドル未満の会社無料(Personal)
それより大きい会社・官公庁での仕事有料プランが必要。Pro(年払い 月9ドル/人)、Team(同 15ドル)、Business(同 24ドル)

サインインは必須ではありません。この記事の画面も、サインインしない Personal(画面左上に「PERSONAL」と表示)で撮っています。サインインすると、Docker Hub からイメージを取得するときの回数制限がゆるくなるなどの利点があります。

NOTE

会社で使うときは、規模の条件(250人・1,000万ドル)を必ず確認してください。「両方を下回る」ときだけ無料です。料金や条件は変わることがあるので、導入前に公式サイトの最新の内容を確かめましょう。条件に合わない場合は、十二章の似たアプリも候補になります。

五

画面の全体像

起動すると、次のような画面(ダッシュボード)が開きます。メニューバーのクジラのアイコンからも、いつでも開けます。

Docker Desktop のメイン画面に番号を付けたもの。1 左のメニュー、2 上部の検索、3 設定の歯車、4 左下のエンジンの状態、5 右下のターミナルと更新のお知らせ
メイン画面の全体像。①左のメニューで画面を切り替え、②検索(⌘K)でイメージやコンテナを探し、③歯車で設定を開きます。④左下は Docker Engine の状態、⑤右下はターミナルと更新のお知らせ(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
メニューできること
GordonAI の助手に質問する(十一章)
Containersコンテナの一覧・起動・停止・削除、ログやファイルの確認
Images手元のイメージの一覧・削除、脆弱性の確認
Logsすべてのコンテナのログをまとめて見る
Volumesボリュームの一覧・作成・中身の確認
Kubernetes1台で動く Kubernetes を作る(使うときだけ)
Buildsイメージを作った履歴と、かかった時間・ログ
Models / MCP ToolkitAI モデルの実行、AI に道具をつなぐ仕組み(十一章)
Docker Hub公開イメージを探して、取得・起動する
Extensions拡張機能(追加の画面や道具)
六

使い方①:イメージを探して起動する

まずは、Web サーバーの nginx(エンジンエックス)を動かしてみます。コマンドは一つも打ちません。

Docker Hub の検索画面。1 左メニューの Docker Hub、2 検索欄に nginx と入力、3 検索結果の nginx(公式イメージ)のカード
手順1:①左のメニューで Docker Hub を開き、②検索欄に「nginx」と入れて Enter。③いちばん上の「nginx」(緑のリボンが公式イメージのしるし)を選びます(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
nginx イメージの詳細画面。1 タグの選択(stable-alpine)、2 Pull ボタン、3 Run ボタン
手順2:①タグ(版の名前)を選び、②Pull で取得だけ、③Run で取得してすぐ起動。今回はタグを「stable-alpine」(安定版・軽量版)にして Run を押しました(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
Run を押したときの設定画面。1 コンテナ名に kiji-web、2 ホストのポートに 8080(コンテナ側は 80/tcp)、3 Run ボタン
手順3:①コンテナに名前を付け(空なら自動で付く)、②パソコン側のポート番号を入れ、③Run。ここでは 8080 を入れたので、ブラウザで localhost:8080 を開くとコンテナの 80 番につながります(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)

Run を押すと、イメージの取得が終わりしだいコンテナが起動し、コンテナの詳細画面に切り替わります(冒頭の写真)。ブラウザで http://localhost:8080 を開くと、「Welcome to nginx!」のページが表示されました。これで、パソコンの 8080 番 → コンテナの 80 番がつながったことが確かめられます。

POINT

イメージを選ぶときは、「Docker Official Image」(公式)や「Verified Publisher」(認証済みの発行元)の印があるものを選びましょう。だれでもイメージを公開できるので、名前が似ていても中身が別物のことがあります。また、タグは latest ではなく版を決めておくと、知らないうちに中身が変わる心配がありません。

七

使い方②:コンテナを操作する

動かしたコンテナは、Containers 画面に並びます。この Mac にはほかのコンテナもあるので、検索欄で名前を絞り込んでいます。

Containers 画面。1 検索欄で kiji に絞り込み、2 ポート 8080:80 のリンク、3 停止ボタン、4 その他のメニュー、5 削除ボタン
Containers 画面。①名前で絞り込み、②ポートのリンクでブラウザが開き、③停止(止まっていれば ▶ 開始)、④その他のメニュー(再起動やターミナルなど)、⑤削除(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)

コンテナには「一生」があります。ボタンとコマンドの関係を図にしました。

コンテナの一生と、ボタン・コマンド

イメージ 型 実行中 Running 停止 Exited 削除 消える run stop ■ start ▶ rm restart ↻ やりたいこと画面のボタンコマンド 止める■ 停止docker stop kiji-web また動かす▶ 開始docker start kiji-web 再起動↻ 再起動docker restart kiji-web 消すごみ箱docker rm -f kiji-web ログを見るLogs タブdocker logs -f kiji-web

「停止」したコンテナは消えていません。中のデータも残っていて、▶ でまた動かせます。消えるのは「削除」したとき

コンテナの名前をクリックすると、詳細画面が開きます。ここが Docker Desktop でいちばんよく使う画面です。

コンテナ詳細画面。1 Logs や Exec などのタブ、2 ポートのリンク、3 状態(Running)、4 停止・開始・再起動のボタン、5 削除、6 ログの検索やコピーなどの道具
コンテナの詳細。①タブで「ログ・設定の中身・ファイル・ターミナル・使用量」を切り替え、②ポートのリンク、③いまの状態、④停止・開始・再起動、⑤削除、⑥ログの検索・絞り込み・コピー・消去(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
タブ見られるもの使う場面
Logsコンテナが画面に出したメッセージ起動しない・エラーが出たときにまず見る
Inspect環境変数・ポート・ネットワークなど設定の中身設定が意図どおりか確かめる
Bind mountsつないでいるパソコンのフォルダファイルが見えないときに確かめる
Execコンテナの中のシェル(ターミナル)中に入ってコマンドを打つ
Filesコンテナの中のファイル設定ファイルを読む・取り出す
StatsCPU・メモリ・ディスク・ネットワークの使用量重いコンテナを探す
Exec タブ。1 Exec タブ、2 コンテナの中のシェルで printenv を実行した結果(NGINX_VERSION=1.30.6 など)、3 Debug mode、4 外部ターミナルで開く
Exec タブでコンテナの中に入れます。②で printenv を実行すると、NGINX_VERSION=1.30.6 などコンテナ内の環境変数が見えます。③Debug mode は道具の少ないイメージ向けの調査用(有料プランの機能)、④はふだんのターミナルで開くボタン(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
Files タブ。1 Files タブ、2 起動後に変更された etc フォルダに付いた MODIFIED の印、3 Open file editor ボタン
Files タブではコンテナの中のファイルを一覧できます。②「MODIFIED」は起動後に書き換わった場所の印。③からファイルを開いて編集もできますが、コンテナを消すと変更も消えます(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
八

使い方③:イメージとボリューム

取得したイメージは Images 画面に並びます。イメージは一つで数百 MB になることもあり、ためこむとディスクを圧迫します。使わないものはここから削除しましょう。

Images 画面。1 Local と My Hub のタブ、2 ディスクの使用量、3 検索欄に nginx、4 実行ボタン、5 削除ボタン
Images 画面。①手元のイメージ(Local)と Docker Hub の自分のイメージ(My Hub)、②イメージが使っている容量、③絞り込み、④このイメージから新しいコンテナを起動、⑤削除(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
イメージの詳細画面。1 レイヤー(層)の一覧、2 Vulnerabilities と Packages のタブ、3 CVE の一覧と深刻度、4 Run ボタン
イメージ名をクリックすると中身が見えます。①イメージを作った層の一覧、②③Docker Scout による脆弱性(CVE)とパッケージの一覧。この時点の nginx:stable-alpine では 14 件が見つかりました(数は日々変わります)(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)

Docker Scout の分析は、イメージの中のパッケージの一覧(SBOM)を作り、既知の脆弱性と照らし合わせるものです。「脆弱性がある=すぐ危ない」ではありませんが、「Fixable(直した版がある)」が付いたものは、新しい版のイメージに替えることで解消できることが多いので、定期的に見ておくと安心です。

次はデータの置き場所です。三つの置き場所の違いを図にまとめました。

データはどこに置くか

コンテナの中 (何もしない) 消すと データも消える 速さ 速い 向くもの 一時ファイル 場所 書き込み層 ボリューム -v data:/data 消すと データは残る 速さ 速い 向くもの DB のデータ 場所 Docker が管理 バインドマウント -v ./src:/app 消すと フォルダは残る 速さ Mac/Win は遅め 向くもの ソースコード 場所 PC のフォルダ 消えて困るデータは、必ずボリュームかバインドマウントに置く DB はボリュームへ。フォルダ共有は便利だが Mac・Windows では遅め
Volumes 画面で新しいボリュームを作るところ。1 Create ボタン、2 名前の入力欄に kijidata、3 Create ボタン
ボリュームの作成。①Create を押し、②名前を入れて、③Create。作ったボリュームは、コマンドや Compose でコンテナにつなぎます(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)

画面から作ったボリュームを実際にコンテナにつなぐのは、コマンド(docker run -v)や Compose の設定で行います。画面は「一覧して、中身を確かめて、要らなくなったら消す」ための場所、と考えると分かりやすいでしょう。

九

使い方④:設定

右上の歯車から設定を開きます。まず見ておきたいのは Resources(資源)です。

設定の Resources 画面。1 左の Resources、2 Advanced や File sharing のタブ、3 CPU の上限 10、4 メモリの上限 8 GB、5 Apply ボタン
設定 > Resources。②タブでファイル共有やプロキシも設定できます。③CPU と④メモリの上限は、裏の Linux(仮想マシン)に割り当てる量。変えたら⑤Apply で反映(エンジンが再起動します)(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
設定場所目安・ポイント
CPU・メモリの上限Resources > Advancedパソコンのメモリの半分程度から。重い DB を動かすなら増やす。足りないとコンテナが突然止まる
ディスクの上限Resources > Advancedイメージやボリュームが置かれる仮想ディスクの大きさ
ファイル共有Resources > File sharingコンテナに見せてよいフォルダ。プロジェクトのフォルダが入っているか確かめる
プロキシResources > Proxies会社のプロキシ越しにイメージを取得するとき
ログイン時に起動General毎日使うならオン、たまにならオフでメモリを節約
仮想マシンの種類General(Mac)迷ったら標準(Apple 仮想化)のまま
自動更新Software updates新しい版はほぼ毎週出る。チームで版をそろえたい場合は手動に
KubernetesKubernetes使うときだけ有効に。オンにすると常にメモリを使う
設定の Docker Engine 画面。1 左の Docker Engine、2 設定を誤ると起動しなくなるという警告、3 daemon.json を編集する欄、4 Apply ボタン
設定 > Docker Engine。③に Docker Engine の設定(daemon.json)を JSON で書きます。レジストリのミラーやログの上限などをここで設定できますが、②の警告どおり、書き間違えると起動しなくなります(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)

Docker Engine 画面は上級者向けです。たとえば、レジストリのミラー(代わりの取得元)を使う、ログファイルの大きさに上限を付ける、といった設定を書きます。書き換える前に元の内容を控えておくと、起動しなくなったときにすぐ戻せます。

十

画面とコマンドの対応

画面でできることは、すべてコマンドでもできます。最初は画面で覚え、慣れてきたらコマンドに移ると、手順を文書やスクリプトに残せて便利です。ここまでの操作をコマンドにすると次のとおりです。

# ① イメージを取得する(画面の Pull)
docker pull nginx:stable-alpine

# ② 名前とポートを決めて起動する(画面の Run)
docker run -d --name kiji-web -p 8080:80 nginx:stable-alpine

# ③ コンテナの一覧(Containers 画面。-a で停止中も)
docker ps -a

# ④ ログを見る(Logs タブ。-f で流れ続けるログを追う)
docker logs -f kiji-web

# ⑤ 中に入る(Exec タブ)
docker exec -it kiji-web sh

# ⑥ ボリュームを作る(Volumes 画面の Create)
docker volume create kijidata

# ⑦ 後片付け(削除ボタン)
docker rm -f kiji-web
docker volume rm kijidata
docker image rm nginx:stable-alpine

# ⑧ ディスクの使用量を見る・使っていないものを掃除する
docker system df
docker system prune

複数のコンテナを組み合わせるなら、Compose を使います(書き方はDocker 入門と実践の六章以降)。docker compose up で起動すると、Containers 画面ではプロジェクト名でまとまって表示され、まとめて止めたり消したりできます。

十一

AI まわりの新機能

ここ1〜2年で、Docker Desktop には AI に関わる機能が次々に加わりました。左のメニューの上から見ていきます。

Gordon の画面。1 New session ボタン、2 プロジェクトのフォルダを選ぶボタン、3 コンテナのエラーを直す・Dockerfile を作るなどの質問例、4 質問の入力欄
AI の助手「Gordon」(ベータ)。①会話を始め、②プロジェクトのフォルダを選ぶと中身を読んだうえで答えます。③は質問の例、④に質問を入力します(日本語でも質問できます)(筆者の Mac で撮影。Docker Desktop 4.89.0、2026年10月17日。番号と赤枠は撮影後に書き込み)
機能何ができる
GordonDocker に詳しい AI の助手。エラーの原因を調べる、Dockerfile を作る・見直す、不要なイメージの掃除の計画を立てる、など。コマンドからも使える。コンテナ一覧の各行にあるロボットのアイコンからも呼べる
Model RunnerAI のモデル(大規模言語モデルなど)を、イメージと同じように取得して手元で動かす。設定 > AI で有効にしてから使う
MCP Toolkit(ベータ)AI のアシスタントに外部の道具をつなぐ仕組み「MCP」のサーバーを、カタログから選んでコンテナで動かす

どれも新しく、ベータの機能も多いので、画面や名前は変わりやすい部分です。Gordon にプロジェクトのフォルダを読ませるときは、その中身が AI のサービスに送られることを意識し、会社のコードで使ってよいか事前に確認しましょう。ローカルの AI モデルの動かし方は、開発ガイドのローカル環境で大規模モデルを動かすも参考になります。

十二

似たアプリとの使い分け

手元でコンテナを動かすアプリは、Docker Desktop だけではありません。どれも同じ形式(OCI)のイメージを使えるので、途中で乗り換えるのも難しくありません。

アプリOS料金・ライセンス向いている人
Docker DesktopMac・Win・Linux個人・小さな会社は無料、大きな会社は有料情報の多さ・チームでの統一・公式のサポートを重視
Rancher DesktopMac・Win・Linux無料(Apache 2.0、SUSE)無料の画面付きがほしい。Kubernetes(k3s)も手軽に。エンジンは containerd か dockerd を選べる
Podman DesktopMac・Win・Linux無料(Apache 2.0)常駐の管理プロセスがなく、root 権限なしで動く Podman を使いたい。Red Hat 系の環境
OrbStackMac のみ個人は無料、仕事は有料(月8ドル/人)Mac で軽さ・速さ・起動の早さを最優先
ColimaMac・Linux無料(MIT)画面は不要。コマンドだけで十分
Apple の containerMac(Apple シリコン、macOS 26)無料(Apache 2.0)コンテナごとに軽い仮想マシンを使う Apple 純正の新方式を試したい
Docker Engine(直接)Linux無料(オープンソース)サーバーや Linux のパソコン。仮想マシン不要

どれを選ぶか(目安)

Linux のサーバー・PC? Docker Engine を直接 VM なし・無料 はい いいえ 画面はいらない(Mac)? コマンドだけで十分 Colima MIT・コマンドのみ はい いいえ Mac で軽さ最優先? 仕事なら有料 OK OrbStack Mac 専用・仕事は有料 はい いいえ 無料の OSS がいい? 会社の規模が大きい等 Podman / Rancher Desktop Apache 2.0・無料 はい どれでもなければ Docker Desktop。情報が多く、チームで手順をそろえやすい ※ 筆者の目安。どれも同じ OCI イメージを使うので、乗り換えは簡単

なお、Windows では WSL 2 の中に Linux 用の Docker Engine を直接入れる方法もあります。無料ですが、Windows 側との連携(ファイル共有や起動の手間)を自分で整える必要があります。

十三

うまく使いこなすコツとトラブル対処

  • ディスクは定期的に掃除する ── イメージ、止まったコンテナ、使っていないボリューム、ビルドのキャッシュがたまる。docker system df で内訳を見て、docker system prune で掃除(ボリュームは --volumes を付けたときだけ消える)
  • Apple シリコンの Mac では ARM 版のイメージを選ぶ ── 多くの公式イメージは両方入りで自動的に選ばれる。Intel 用しかないときは --platform linux/amd64 で動くが遅い
  • ソースコードの共有が遅いとき ── node_modules など大量の小さなファイルはボリュームに置く。有料プランの Synchronized file shares を使う手もある
  • コンテナからパソコン側のサービスを呼ぶ ── localhost ではなく host.docker.internal を使う。コンテナの中の localhost はコンテナ自身を指す
  • 「port is already allocated」と出たら ── そのポートを別のアプリかコンテナが使っている。番号を変える(例 8081:80)か、使っている方を止める
  • 起動しない・おかしいとき ── 右上の「?」(Troubleshoot)から、まず「Restart」。だめなら診断情報を集める(docker desktop diagnose でも可)
  • 拡張機能は信頼できるものだけ ── 設定画面にも「拡張機能はホストの権限で動く」と警告がある。ファイルの読み書きや Docker Engine の操作ができるので、出どころを確かめてから入れる
  • 版をそろえる ── チームで使うなら Docker Desktop と Compose の版をそろえ、手順書に版を書いておく
NOTE

Troubleshoot の「Clean up data」は、設定は残したまますべてのコンテナとイメージを消します。「Reset to factory defaults」は設定も含めて入れた直後の状態に戻します。ボリュームに置いた大事なデータ(開発用の DB など)も失われることがあるので、実行する前に必ず退避してください。

結 — 一枚まとめ

  1. Docker Desktop は、パソコンで Docker を使うための全部入りアプリ。エンジン・コマンド・画面・Kubernetes・脆弱性の確認・AI の助手までがそろう。
  2. Mac と Windows では、裏で小さな Linux の仮想マシンが動いている。メモリ・ディスク・速さの悩みは、たいていここから来る。
  3. 基本の言葉はイメージ(型)・コンテナ(実物)・ポート(入口)・ボリューム(消えない置き場)。コンテナは使い捨て、残すデータはボリュームへ。
  4. 画面では、Docker Hub で探す → タグを選んで Run → 名前とポートを決めるだけで起動できる。詳細画面のログ・Exec・Files で中身を確かめられ、操作はすべてコマンドとも対応している。
  5. 個人・小さな会社は無料、大きな会社は有料。条件や好みによっては Rancher Desktop・Podman Desktop・OrbStack・Colima なども選べる。

参考

画面は2026年10月17日に、筆者の Mac(Apple シリコン)の Docker Desktop 4.89.0(Docker Engine 29.7.2、Compose v5.5.0)で撮影しました。執筆時点の最新版は 4.95.0(2026年10月12日)で、版によって画面が少し異なることがあります。ほかのコンテナやイメージが写らないよう、一覧は検索欄で絞り込んでいます。料金・ライセンス・動作条件は2026年10月時点の公式サイトと公式ドキュメントによります。似たアプリの比較と選び方の図は筆者の整理による目安です。

アプリノート No.1 — Docker Desktop 使い方ガイド / 2026.10

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