Dev Guide / 2026 ・ No.04

ローカル環境で大規模モデルを動かす

CUDA と Metal の違いから、Qwen3.8-27B を LM Studio で動かすまで

公開

LM Studio のチャット画面。下の入力欄の左に読み込んだ Qwen3.8-27B、その右に Think と Vision のボタン。上に日本語の質問と、ローカルで LLM を動かす利点を3つ挙げた回答
LM Studio で Qwen3.8-27B に日本語で質問したところ。この回答は、インターネットに一切送らずに手元の機械だけで作られています(筆者撮影)

ChatGPT のような AI は、ふつうはインターネットの向こうのサーバーで動いています。
でも今は、公開されたモデルをダウンロードして、自分のパソコンの中だけで動かすこともできます。
この記事では、まず「どんな技術の系統があるのか」「Windows・Mac・Linux で何が使えるのか」「27B や Q4_K_M とは何か」を整理し、
文章・画像・声・OCR・翻訳の実用的なモデルを紹介したうえで、Qwen3.8-27B を LM Studio で動かす手順を画面つきで説明します。

一

なぜローカルで動かすのか

ローカル環境で動かす、というのは、モデルの重み(学習で得た数値のかたまり)をファイルとして手元に置き、自分の機械の GPU や CPU で計算させることです。質問も答えも機械の外に出ません。

ローカルクラウドの AI サービス
データ外に出ない。社外秘や個人情報も扱いやすいサービス側に送られる
費用機械代と電気代だけ。使い放題月額や従量課金
オフライン使える使えない
賢さ機械のメモリで上限が決まる最先端の巨大モデルが使える
手間モデル選び・更新を自分でほぼ不要
CORE

ローカルの弱点は「載せられる大きさに上限がある」ことです。逆に言えば、自分の機械のメモリに合ったモデルを選べるかどうかが、ローカルで成功するかどうかのほとんどを決めます。この記事の前半は、その選び方のための知識です。

二

技術の系統で分ける ── CUDA・Metal・ROCm・CPU

ローカルで動かす仕組みは、上から「アプリ」「推論エンジン」「GPU の命令系」「メモリ」の層に分けると見通しがよくなります。よく「CUDA 系」「Metal 系」と呼ばれるのは、下の二つの層の違いです。

アプリは共通、違いは下の層

アプリ:LM Studio・Ollama・ComfyUI など 画面や使い方は、どの機械でもほぼ同じ アプリ NVIDIA Apple Silicon AMD・Intel CPU のみ エンジン llama.cpp vLLM・PyTorch llama.cpp MLX・PyTorch llama.cpp PyTorch(一部) llama.cpp ほぼこれだけ 命令系 CUDA 対応ソフト最多 Metal MPS・MLX ROCm・Vulkan Intel は oneAPI AVX2・NEON CPU の命令 メモリ VRAM 8〜32GB が中心 ユニファイド CPU と共有 VRAM / 共有 機種による メインメモリ 大きいが遅い アプリは同じでも、下の「命令系」と「メモリ」で速さと載る大きさが決まる 朱の枠=いわゆる「CUDA 系」「Metal 系」の分かれ目

推論エンジン llama.cpp はすべての系統に対応しているので、LM Studio や Ollama はどの機械でも動きます

系統代表的な機械強み弱み
NVIDIA・CUDAGeForce RTX を積んだ Windows・Linux 機対応ソフトがいちばん多い。画像生成・音声・学習まで何でも動く。速いVRAM が 8〜32GB と小さめ。大きなモデルは載らない
Apple・Metal / MPS / MLXM1〜M5 の MacCPU と GPU がメモリを共有(ユニファイドメモリ)。64GB・128GB の Mac なら大きなモデルも載る。静かで省電力同じ値段の NVIDIA より計算は遅め。CUDA 専用のソフトは動かない
AMD・ROCm / VulkanRadeon、Ryzen AI Max 搭載機VRAM の割に安い。Ryzen AI Max は大容量の共有メモリソフトの対応が CUDA より少ない。OS や型番で差が大きい
Intel・oneAPI / VulkanArc GPU、Core Ultra手ごろ対応ソフトが少ない
CPU のみGPU のない PC・サーバーどこでも動く遅い。小さなモデル向け
  • CUDA は NVIDIA の GPU を計算に使うための仕組みです。PyTorch をはじめ、ほぼすべての AI ソフトが最初に対応します。
  • Metal は Apple の GPU の仕組み、MPS はその上で PyTorch を動かす部分、MLX は Apple が Apple Silicon 用に作った機械学習の枠組みです。Mac では MLX 版のモデルがいちばん速いことが多いです。
  • Vulkan はメーカーを問わない GPU の仕組みで、llama.cpp は AMD・Intel の GPU でもこれで動きます。
  • NPU(Copilot+ PC や Apple の Neural Engine)も AI 用ですが、大きな言語モデルを自由に動かす用途では、2026年秋の時点ではまだ主役ではありません。
三

Windows・Mac・Linux の選択肢

用途WindowsMac(Apple Silicon)Linux
文章 AI を画面で使うLM Studio・OllamaLM Studio(MLX 対応)・OllamaLM Studio(AppImage)
コマンドで使う・常駐させるOllama・llama.cpp・lmsOllama・llama.cpp・mlx-lm・lmsOllama・llama.cpp・lms・llmster
多人数に配る本格サーバーWSL2 上で vLLM(不向き)vLLM・SGLang(NVIDIA 向け)
画像生成ComfyUIComfyUI・Draw ThingsComfyUI
声・OCR・翻訳各モデルの公式リポジトリ(Python)、ComfyUI のノード、Ollama・LM Studio に載るものはそれらで
  • LM Studio … 画面で検索・ダウンロード・読み込み・チャット・API サーバーまでできるアプリ。Mac は Apple Silicon、Windows は x86 と ARM64(Snapdragon)、Linux は x86 と ARM64 に対応(ダウンロードページで確認)。今回の手順はこれを使います。
  • Ollama … ollama run モデル名 の一行で動く定番。Mac と Windows には画面つきのアプリもあり、Linux はコマンドで入れます。
  • llama.cpp … LM Studio や Ollama の中で動いている推論エンジン本体。細かく調整したい人向け。
  • vLLM … 同時に大勢から使われるサーバー向けの高速エンジン。Linux+NVIDIA が基本です。
四

用語 ── 27B・Q4_K_M・A3B などの意味

モデルの名前やダウンロード画面には、記号のような言葉が並びます。これを読めると、自分の機械で動くかどうかがすぐわかります。

用語意味例
◯Bパラメータ(重み)の数。B は billion=10億。多いほど賢いが、メモリと計算が増える27B=270億、4B=40億
E◯B実際に計算に使う「実効」パラメータ数(Gemma の小型版)Gemma 4 E4B
◯B-A◯B(MoE)専門家を切り替える MoE 型。前が全体、A のあとが1トークンごとに動く分。メモリは全体分、速さは動く分で決まるQwen3.6-35B-A3B(全体35B・動くのは3B)
Dense(密)毎回すべてのパラメータを使う型。同じ大きさなら MoE より賢いことが多いが遅いQwen3.8-27B
量子化重みの桁を減らして小さくすること。BF16(16ビット)→ 8ビット → 4ビットと小さくなり、少しずつ精度が落ちるQ8_0、Q4_K_M
Q4_K_Mllama.cpp の量子化の一種。おおよそ4〜5ビット。大きさと精度のバランスがよい定番27B で 16.8GB
MXFP4・NVFP4新しい4ビット形式。gpt-oss は MXFP4 で配布、NVFP4 は NVIDIA の新しい GPU 向けgpt-oss-20b
GGUFllama.cpp 用のファイル形式。LM Studio・Ollama で使う。1ファイルにまとまる◯◯-Q4_K_M.gguf
MLXApple Silicon 用の形式。Mac ではこちらが速いことが多い◯◯-MLX-4bit
safetensors元の重みの形式。PyTorch・vLLM・ComfyUI などで使う公式リポジトリ
コンテキスト長一度に覚えていられる長さ(トークン数)。長くすると KV キャッシュ分のメモリが増える256K(262,144)
トークン文章を細かく切った単位。日本語は1文字〜数文字で1トークンほど
tok/s1秒に作れるトークン数=生成の速さ。読むより速ければ快適20 tok/s
VRAM/ユニファイドメモリGPU 専用のメモリ/Mac の CPU と GPU が共有するメモリ。モデルはここに載せるRTX 4090 は 24GB
GPU オフロードモデルの層のうち、何層を GPU に載せるか。全部載れば速い
-Instruct・-it会話向けに調整済みの版。ふつうはこれを使う(Base は素の版)gemma-4-31B-it
Thinking答える前に考える過程を出す機能。賢くなるが時間がかかるQwen3.8 は切り替え可
VL・Vision画像も読めるモデル。GGUF では mmproj という別ファイルが付くmmproj-◯◯.gguf
ライセンス商用に使えるか。Apache 2.0・MIT は商用可、独自ライセンスや研究用・非商用もある
五

メモリと速さの目安

メモリの必要量は「パラメータ数 × ビット数 ÷ 8」でおおよそ計算できます。下の図は、今回使う Qwen3.8-27B の実際のファイルの大きさです。

27B のモデルは何 GB か

16GB 24GB 32GB BF16 55.6GB 元の重み(1パラメータ2バイト)。家庭の機械には載らない Q8_0 29.0GB Q6_K 22.4GB Q4_K_M 16.8GB 4ビット台に量子化。これを使う 27B × 約5ビット ÷ 8 ≒ 17GB。「◯B」からメモリの目安がわかる 実際は会話の長さ分(KV キャッシュ)とソフトの分が上乗せされる LM Studio の見積もり:Q4_K_M・8K トークンで合計 19.24GB

ファイルの大きさは Hugging Face の lmstudio-community/Qwen3.8-27B-GGUF の値(BF16 のみ 27.78B×2 バイトで計算)

速さのほうは、メモリから重みを読む速さ(帯域)でほぼ決まります。文章を1トークン作るたびに、重みを全部読み直すからです。

速さ ≒ メモリ帯域 ÷ モデルの大きさ

Qwen3.8-27B(Q4_K_M・16.8GB)で出せる速さの上限 RTX 5090 1792 GB/s 最大約 107 tok/s RTX 4090 1008 GB/s 最大約 60 tok/s M4 Max 546 GB/s 最大約 32 tok/s M4 Pro 273 GB/s 最大約 16 tok/s 撮影機 1.2 GB/s ディスク読み。1トークン数秒〜十数秒(実測) 1トークンごとに重みを全部読む ⇒ 速さ ≒ メモリ帯域 ÷ モデルの大きさ 実際の速度はこの上限の半分〜7割ほど。MoE は動く分(A3B なら3B 分)だけ読むので速い 帯域はメーカー公表値。撮影機の値は筆者の実測

理論上の上限。実際はこれより遅く、Mac の MLX 版や MTP(複数トークン予測)でいくらか速くなります

機械のメモリ無理なく動く大きさおすすめの例
8GB(GPU なしのノートなど)2〜4BGemma 4 E2B・E4B
VRAM 12〜16GB/Mac 16〜24GB〜12B、または 20B 級の MoEGemma 4 12B、gpt-oss-20b
VRAM 24〜32GB/Mac 32〜48GB27〜35B を 4ビットでQwen3.8-27B、Gemma 4 26B-A4B・31B
Mac 64GB 以上35B を 8ビットで、さらに大きな MoEQwen3.6-35B-A3B(8ビット)
Mac 128GB 以上など100B 級の MoEgpt-oss-120b
NOTE

Mac は全メモリを GPU に使えるわけではなく、標準ではおよそ3分の2〜4分の3までです。OS やほかのアプリの分も残すので、モデルのファイルがメモリの半分強に収まるくらいを目安にすると安心です。

六

いま実用的なモデル(2026年10月)

Hugging Face の公式ページで、公開日・パラメータ数・ライセンスを確かめたものです。「商用」は Apache 2.0・MIT などで商用利用が認められているものに〇をつけています(細かな条件は各ライセンスで確認してください)。

文章を書く・話す(LLM)

モデル大きさ4ビットの目安商用ひとこと
Qwen3.8-27B(Alibaba・2026年8月)27B(密)17GB〇この大きさで最上位級。画像・動画も読める。256K
Gemma 4(Google・2026年3月〜)E2B・E4B・12B・26B-A4B・31BE4B 数GB〜31B 約20GB〇大きさを選べる。小型はノート向き
Qwen3.6-35B-A3B(2026年4月)35B(MoE・動くのは3B)約24GB〇動く分が小さいので速い
gpt-oss-20b/120b(OpenAI・2025年8月)21B・117B(MoE)約14GB/約65GB〇MXFP4 で配布。16GB でも動く

テキストから画像を作る

モデル大きさ商用ひとこと
Z-Image-Turbo(Alibaba Tongyi・2025年11月)6B〇8ステップで速い。16GB 級の GPU で実用的。写真風が得意
FLUX.2 [klein] 4B/9B(Black Forest Labs・2026年1月)4B・9B4B のみ〇軽くて編集もできる。9B は非商用ライセンス
Qwen-Image-2512(2025年12月)20B〇画像の中の文字(中国語・英語)に強い。重いので量子化版で
Qwen-Image-2.1(2026年9月)7B研究用新しく軽い。ライセンスは研究向けなので注意
SDXL(Stability AI・2023年)約2.6B〇(条件付き)古いが軽く、追加学習データ(LoRA)が圧倒的に多い

声のクローン(音声合成)

モデル大きさ商用ひとこと
Qwen3-TTS(Alibaba・2026年1月)0.6B・1.7B〇3秒の声でクローン。日本語・中国語・英語など10言語
VoxCPM2(OpenBMB・2026年4月)2B〇30言語・48kHz。声を文章で指定して作ることもできる
IndexTTS-2.5(bilibili・2026年8月)—独自感情や長さの制御に強い。2.5 で日本語に対応
Fun-CosyVoice3-0.5B(Alibaba・2025年12月)0.5B〇軽くて速い
GPT-SoVITS(オープンソース)—〇(MIT)1分ほどの音声で追加学習。日本のユーザーが多い

声のクローンは、本人の同意を得た声だけに使ってください。他人の声で作った音声を本人のものとして公開するのは、詐欺や権利侵害につながります。

OCR(画像・PDF の文字を読む)

モデル大きさ商用ひとこと
PaddleOCR-VL-1.6(Baidu・2026年5月)0.9B〇表・数式・グラフまで読む。OmniDocBench v1.6 で 96.33%(公式発表)
GLM-OCR(Z.ai・2026年1月)約0.9B〇(MIT)小さく速い。Ollama でも動く
DeepSeek-OCR-2(2026年1月)3B〇長い文書を少ないトークンで読む
MinerU2.5-Pro(OpenDataLab・2026年5月)1.2B〇PDF を Markdown にする用途に
olmOCR-2(Ai2・2025年10月)7B〇大量の PDF をまとめて処理する用途に

翻訳

モデル大きさ商用ひとこと
Hy-MT2(Tencent・2026年5月)1.8B・7B・30B-A3B〇33言語。公式の GGUF があり、1.8B はノートでも動く
TranslateGemma(Google・2026年1月)4B・12B・27B〇(Gemma 規約)Gemma ベースの翻訳専用版
PLaMo 2 Translate(PFN・2025年5月)約10B条件付き日本語⇔英語に特化
NLLB-200(Meta・2022年)0.6〜3.3B非商用200言語。古いが少数言語に強い

翻訳は、上の LLM(Qwen3.8 や Gemma 4)に頼んでも十分きれいです。専用モデルは「小さくて速い」のが利点です。

七

一つ選ぶなら Qwen3.8-27B

ローカルで動かしやすく、しかも精度が高いモデルを一つ選ぶなら、2026年8月に公開された Qwen3.8-27B です。

  • 精度が高い … 公式の比較表では、前世代の Qwen3.6-27B を各分野で上回り、文章・コード・調べもの・エージェントの作業まで、この大きさでは最上位級です(例:SWE-bench Pro 61.7〔前世代 53.5〕、GPQA Diamond 89.2)。
  • ちょうど載る大きさ … 4ビット(Q4_K_M)で 16.8GB。VRAM 24GB の GPU(RTX 3090・4090 など)や メモリ 32GB 以上の Mac にそのまま載ります。
  • 画像も読める … 写真や図、PDF の画面を渡して質問できます。コンテキストは 262,144 トークン。
  • Apache 2.0 … 商用でも自由に使えます。
  • どこでも動く … GGUF 版と MLX 版が公開され、LM Studio・Ollama(ollama run qwen3.8)・llama.cpp・vLLM のどれでも使えます。
IF

メモリが 16GB 以下なら、同じ手順で Gemma 4 12B(約8GB)や Gemma 4 E4B を選んでください。検索語を変えるだけで、あとの操作は同じです。

八

手順1:LM Studio を入れる

撮影には、Linux 版の LM Studio 0.4.25 を使いました。Mac・Windows 版も画面は同じで、違うのはウインドウの外枠とメニューだけです。

lmstudio.ai のダウンロードページ。Download LM Studio の見出しの下に、OS、CPU の種類、バージョンの選択欄と、紫の Download ボタン
① OS(macOS・Windows・Linux)、② CPU の種類を選び、③ Download を押します(出典:lmstudio.ai/download、2026年10月4日撮影。番号は撮影後に追加)
  • lmstudio.ai/download を開きます。ページの上には別製品の「LM Studio Bionic」(エージェント用アプリ)が出ますが、今回使うのは下の Download LM Studio です。
  • Mac:dmg を開き、LM Studio をアプリケーションへドラッグ。Windows:インストーラーを実行。Linux:AppImage に実行権限をつけて(chmod +x)起動します。
LM Studio の最初の画面。Local AI on your computer. の大きな文字と、Get Started ボタン、Version 0.4.25
初回起動の画面。① Get Started を押します(筆者撮影。番号は撮影後に追加)
Your first model の画面。おすすめとして google/gemma-3-4b と Download ボタン、その下に Skip for now のリンク
最初のモデルとして小さな Gemma 3 4B を勧められますが、今回は自分で選ぶので ① Skip for now を押します(筆者撮影。番号は撮影後に追加)
Advanced settings の画面。Turn on Developer Mode と、lms を PATH に追加するスイッチ、Continue to LM Studio ボタン
① コマンド lms を使えるようにするスイッチはオンのままで、② Continue to LM Studio を押します。Developer Mode は後からでも変えられます(筆者撮影。番号は撮影後に追加)

サインインは不要で、ここまでで準備は終わりです。

九

手順2:Qwen3.8-27B をダウンロード

Model Search の画面。左に qwen3.8 の検索結果の一覧、右に lmstudio-community/Qwen3.8-27B-GGUF の詳細、Q4_K_M 17.74 GB の選択欄と Download ボタン、赤い Likely too large のラベル
① 虫眼鏡のアイコンを押し、② qwen3.8 で検索、③ lmstudio-community の Qwen3.8-27B-GGUF を選び、④ 量子化(Q4_K_M)を確かめて、⑤ Download。赤い「Likely too large」は撮影機のメモリが足りないという警告です(筆者撮影。番号は撮影後に追加)
  • Mac の場合は、③で lmstudio-community/Qwen3.8-27B-MLX-4bit を選ぶと、Apple Silicon 向けの MLX 版になり速く動きます。
  • 量子化は、迷ったら Q4_K_M。メモリに余裕があれば Q6_K(22.4GB)や Q8_0(29.0GB)にすると、わずかに精度が上がります。
  • 画像を読むための mmproj(約0.9GB)も一緒にダウンロードされ、合計は約17.7GB です。
  • 赤い Likely too large は「この機械にはメモリが足りなさそう」という警告です。撮影機(メモリ 8GB)なので出ていますが、24GB の GPU や 32GB の Mac では出ません。
ダウンロード完了の通知。Download Completed! と、Qwen3.8-27B-Q4_K_M.gguf has finished downloading. の文、Load Model ボタン
ダウンロードが終わると右下に通知が出ます。① Load Model からすぐ読み込めます(筆者撮影。番号は撮影後に追加)
十

手順3:読み込んで話してみる

チャット画面の下にある「Pick a model」(Mac は ⌘+L、Windows・Linux は Ctrl+L)からモデルを選ぶと、読み込みの設定が開きます。

モデル読み込み設定の画面。Estimated Memory Usage が合計 19.24 GB、Context Length 8192、GPU Offload のスライダー、Load Model ボタン
読み込みの設定。① 会話の長さ(Context Length)、② GPU に載せる層の数(GPU Offload)を決めて、③ Load Model。上の見積もりは合計 19.24GB です。撮影機には GPU がないため、GPU Offload は 0 になっています(筆者撮影。番号は撮影後に追加)
  • Context Length … 最初は 8,192 のままで十分です。長い文書を読ませるときに増やします(メモリも増えます)。
  • GPU Offload … GPU のある機械では右端(全部の層)にします。全部載るのがいちばん速く、載らない分は CPU 側で動くので遅くなります。
LM Studio のチャット画面に番号をつけたもの。1 は入力欄の左の読み込み済みモデル名、2 は Think ボタン、3 は入力欄、4 は回答
① 読み込んだモデル、② Think(考える過程)のオン・オフ、③ 入力欄。④ 回答はこのように表示されます(筆者撮影。番号は撮影後に追加)

読み込みが終わると、入力欄の左にモデル名が出ます。あとは質問を入れて Enter。入力欄の Think を押すと「考える過程」のオン・オフを切り替えられます。むずかしい問題はオン、ふだんのやりとりはオフが速くて便利です。

NOTE

この記事の画面は、GPU のない、メモリ 8GB の検証用 Linux 機で撮りました。27B はメモリに収まらないので、あとで紹介するガードレールを OFF にし、ディスクから少しずつ読みながら動かしています。そのため1トークンに数秒〜十数秒かかりました。24GB 以上の GPU や 32GB 以上の Mac なら、同じ操作で会話として快適な速さになります。

十一

手順4:API として使う(応用)

LM Studio は、OpenAI の API と同じ形で呼べるサーバーにもなります。自作のプログラムや、OpenAI 互換の API に対応したツールから、手元のモデルを使えます。

LM Studio の Developer 画面。Status が Running、Reachable at http://127.0.0.1:1234、読み込み済みの qwen3.8-27b と API の使い方
① 左の Developer を開き、② Status をオンにすると、③ http://127.0.0.1:1234 で OpenAI 互換の API が使えます(筆者撮影。番号は撮影後に追加)
ターミナルで curl を使い、localhost:1234 の /v1/chat/completions に質問を送り、Qwen3.8-27B の返事が JSON で返ってきた画面
同じ機械のターミナルから API を呼んだところ。① 送る先は localhost:1234、② model に qwen3.8-27b を指定、③ 返事が返ってきます(筆者が実行した結果を、読みやすいようにターミナルの画面として描き直したもの。番号は後から追加)
# ターミナルから質問を送る(Windows の PowerShell では curl.exe と書く)
curl http://localhost:1234/v1/chat/completions \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{"model": "qwen3.8-27b", "reasoning_effort": "none",
       "messages": [{"role": "user", "content": "こんにちは"}]}'

Qwen3.8 は API でも標準で「考える過程」を出します。"reasoning_effort": "none" を付けると、考える過程を省いてすぐ答えます(撮影機で確認)。

画面を使わない場合は、コマンド lms でも同じことができます(lms get でダウンロード、lms load で読み込み、lms server start でサーバー起動)。Ollama を使う場合は ollama run qwen3.8 の一行で、ダウンロードから会話まで進みます。

十二

うまくいかないとき

LM Studio の右下に出た Failed to load the model の通知。error loading model: unable to allocate CPU_REPACK buffer の文
メモリが足りないと、このような「Failed to load the model」が出ます(撮影機で実際に出たもの)(筆者撮影。番号は撮影後に追加)
症状原因対処
Likely too large/読み込めないメモリ不足小さい量子化(Q4_K_M → Q3)か、小さいモデル(Gemma 4 12B)に。ほかのアプリを閉じる
読み込めたが、とても遅いGPU に載りきらず CPU で動いているGPU Offload を最大に。足りなければモデルを小さく
長い文書で止まる・遅くなるコンテキストが足りない・KV キャッシュでメモリ不足Context Length を増やす/減らす。文書を分ける
答えが途中で長考するThinking がオンThink をオフに
Windows で GPU が使われないドライバーが古い・ランタイムが合わないGPU ドライバーを更新し、LM Studio の Runtime 設定で CUDA(AMD は Vulkan)を選ぶ
設定の Model Defaults 画面。Default Context Length と、Model loading guardrails の OFF・Relaxed・Balanced・Strict・Custom の選択肢
設定 → Model Defaults の「Model loading guardrails」。① メモリを超えそうなモデルを止める安全装置です。撮影機では OFF にしましたが、ふだんは変えないでください(筆者撮影。番号は撮影後に追加)

結 — 一枚まとめ

  1. ローカルの仕組みはアプリ/エンジン/命令系/メモリの層。「CUDA 系」「Metal 系」の違いは下の二つ。
  2. NVIDIA(CUDA)は対応ソフトと速さ、Mac(Metal・MLX)は大きなユニファイドメモリ、AMD・Intel は Vulkan などで。
  3. メモリの目安はパラメータ数 × ビット数 ÷ 8。27B の Q4_K_M で約17GB。速さはメモリ帯域 ÷ モデルの大きさ。
  4. 実用モデル:文章は Qwen3.8・Gemma 4、画像は Z-Image・FLUX.2 klein、声は Qwen3-TTS・VoxCPM2、OCR は PaddleOCR-VL・GLM-OCR、翻訳は Hy-MT2。
  5. 一つ選ぶなら Qwen3.8-27B。LM Studio で検索 → Q4_K_M(Mac は MLX)をダウンロード → 読み込み → 会話。API サーバーにもなる。

参考

LM Studio の画面は、筆者が LM Studio 0.4.25(Linux x64 版)を実際に操作して撮影し、丸数字の番号を後から重ねたものです。モデルの公開日・大きさ・ライセンスは2026年10月4日時点の Hugging Face の公式ページによります。GPU のメモリ帯域はメーカーの公表値、速さの図は理論上の上限の目安です。バージョンや画面は変わることがあります。

開発ガイド No.4 — ローカル環境で大規模モデルを動かす / 2026.10

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