Travel Notes / 2026 ・ No.01
箱根 日帰り周遊ルート
池袋を朝に出て、夜に帰る。山と湖と温泉を一日でひと回り
公開
東京から電車で1時間半。箱根は日帰りでも、山・湖・温泉をひと回りできます。
池袋を朝7時半に出て、夜8時半ごろに戻る定番の周遊ルートを、
乗り物と滞在時間まで時刻つきでまとめました。
ルートの考え方
箱根の見どころは、乗り物をつないで輪のように一周すると無駄なく回れます。電車・ケーブルカー・ロープウェイ・船・バスを乗り継ぐ「ゴールデンコース」と呼ばれる道順です。この記事では反時計回りに回ります。
表紙の地図のとおり、箱根湯本から登山電車で山を登り、ケーブルカーとロープウェイで尾根を越えて芦ノ湖へ。湖を船で渡り、バスで湯本に戻ってきます。反時計回りにする理由は三つです。
- 朝のうちに山側を回れる ── 登りの乗り物は昼前後から混み始めます。早い時間に大涌谷まで上がっておくと、待ち時間が読みやすい
- 最後が湯本の温泉になる ── 一日歩いたあと、帰りのロマンスカーが出る駅のすぐそばで温泉に入れます
- 帰りの読みやすさ ── 最後の区間をバスにすると、渋滞しても温泉の時間で吸収できます
立ち寄るのは、地図の番号順に次の6か所です。
| 番号 | スポット | ひとことで |
|---|---|---|
| ① | 箱根湯本 | 玄関口。帰りに日帰り温泉 |
| ② | 彫刻の森美術館 | 山の中の野外美術館 |
| ③ | 強羅 | 昼食とケーブルカーへの乗り換え |
| ④ | 大涌谷 | 噴煙の谷と黒たまご |
| ⑤ | 芦ノ湖(桃源台港) | 海賊船で湖を渡る |
| ⑥ | 箱根神社 | 湖に立つ平和の鳥居 |
一日のスケジュール
朝7時30分に池袋を出て、夜8時30分ごろ池袋に戻ります。13時間のうち、観光・食事・温泉がおよそ6時間、移動が7時間。移動のうち登山電車・ロープウェイ・海賊船は、それ自体が見どころです。
一日の時間配分(番号は地図のスポット)
土休日の時刻表をもとにした一例。平日は発車時刻が少し変わります
| 時刻 | 行程 | 交通手段・所要 | メモ |
|---|---|---|---|
| 07:30 | 池袋 出発 | JR 山手線(または埼京線)約10分 | 新宿で小田急線へ乗り換え。10〜15分みておく |
| 08:00 | 新宿 → 箱根湯本(09:24) | 特急ロマンスカー 約85分 | 全席指定。前日までに予約を |
| 09:35頃 | 箱根湯本 → 彫刻の森(10:10頃) | 箱根登山電車 約35分 | 同じ駅で乗り換え |
| 10:15 | ② 彫刻の森美術館 | 滞在 90分 | 駅から徒歩約2分 |
| 11:50 | 彫刻の森 → 強羅 | 登山電車 1駅 約3分(徒歩でも約10分) | |
| 12:00 | ③ 強羅で昼食 | 滞在 50分 | 駅のまわりに食事処 |
| 13:00 | 強羅 → 早雲山(13:10) | ケーブルカー 約10分 | |
| 13:15 | 早雲山 → 大涌谷(13:25) | ロープウェイ 約8分 | 乗り継ぎ待ちが出ることも |
| 13:25 | ④ 大涌谷 | 滞在 60分 | 黒たまご・展望 |
| 14:30 | 大涌谷 → 桃源台(14:50) | ロープウェイ 約16分 | 富士山側の眺め |
| 15:00 | ⑤ 桃源台港 → 元箱根港(15:40頃) | 箱根海賊船 約25〜40分 | 箱根町港に寄る便あり |
| 15:40 | ⑥ 箱根神社 | 滞在 60分 | 港から徒歩約10分 |
| 16:50頃 | 元箱根港 → 箱根湯本(17:30頃) | 路線バス 約35〜45分 | 夕方は渋滞で遅れることも |
| 17:40 | ① 湯本で日帰り温泉 | 滞在 50分 | 駅から徒歩数分の施設も |
| 18:45 | 箱根湯本 → 新宿(20:10) | 特急ロマンスカー 約85分 | 往路と一緒に予約 |
| 20:30頃 | 池袋 到着 | JR 約10分 |
ロマンスカーの時刻は、2026年9月の土休日ダイヤ(新宿 08:00 発・箱根湯本 18:45 発)の例です。登山電車・ケーブルカー・ロープウェイ・海賊船・バスは本数が多いので、前の区間が遅れても次の便に乗れば大丈夫です。ただし混雑期は乗り場で待つことがあるので、温泉の時間を「調整用」と考えておくと安心です。温泉をゆっくり楽しむなら、帰りを 19:52 発にする手もあります。
きっぷと予算
このルートなら、小田急の「箱根フリーパス」(新宿発)が便利です。新宿〜小田原の往復と、登山電車・ケーブルカー・ロープウェイ・海賊船・路線バスなどが乗り放題。日帰りでも、一周すれば個別に買うより安くなります。
| 項目 | おとな1人 | メモ |
|---|---|---|
| 箱根フリーパス(新宿発・2日間) | 7,100円 | 日帰りでも2日券を使う |
| ロマンスカー特急券 | 1,200円 × 往復 | フリーパスとは別に必要 |
| JR 池袋⇄新宿 | 往復で数百円 | 交通系ICカードで |
| 彫刻の森美術館 | 2,000円 | Web購入なら 1,800円 |
| 昼食 | 1,500〜2,500円 | |
| 黒たまご | 500円 | 4個入り |
| 日帰り温泉 | 2,000円前後 | 施設・曜日で異なる |
| 合計の目安 | 約16,000円 | お土産は別 |
料金は2026年9月時点の公表額です。フリーパスは小田急の駅の窓口・券売機のほか、スマートフォンのデジタルきっぷでも買えます。フリーパスを見せると割引になる施設もあります。
① 箱根湯本と登山電車
ロマンスカーの終点、箱根湯本が箱根の玄関口です。ここで赤い箱根登山電車に乗り換えます。朝は改札を出ずに、そのまま登山電車のホームへ。
登山電車は移動手段であると同時に、このルートで最初の見どころです。急な山を登るため、途中で3回、進む向きを変える「スイッチバック」をしながら、ジグザグに高度を上げていきます。
- 谷をまたぐ鉄橋 ── 塔ノ沢〜大平台のあたりでは、深い谷を鉄橋で越えます。窓の外に、早川の渓谷が真下に見えます
- スイッチバック ── 運転士と車掌が入れ替わり、電車が逆向きに走り出す瞬間は、ちょっとしたイベントです
- 季節の花 ── 6月下旬から7月は線路沿いにアジサイが咲き、「あじさい電車」と呼ばれます
② 彫刻の森美術館
彫刻の森駅を降りてすぐ、山あいの広い芝生に、国内外の彫刻作品が点在する野外美術館です。屋内にはピカソ館もあります。開館は 9:00〜17:00 で、入館は閉館の30分前まで。
「美術館」と聞いて身構える必要はありません。山の景色の中を散歩しながら、作品に出会う場所です。見上げる、くぐる、中に入る、座る。触れて楽しめる作品も多く、子ども連れでも退屈しません。
- 幸せをよぶシンフォニー彫刻 ── ステンドグラスに囲まれた塔。らせん階段で上まで登れ、光の色が壁いっぱいに広がります
- ネットの森 ── 手編みのネットでできた、子どもが中に入って遊べる作品。木組みのドームの建物も見ものです
- 足湯 ── 園内に温泉の足湯があります。朝から歩いた足を休めるのにちょうどいい
90分あればひと通り回れますが、ピカソ館までじっくり見るなら2時間ほしいところ。その場合は昼食を大涌谷でとるなど、後ろで調整してください。
③ 強羅から ④ 大涌谷へ
彫刻の森から1駅で、登山電車の終点・強羅です。駅のまわりに食事処が集まっているので、ここで昼食をとってから、ケーブルカーで早雲山へ。さらにロープウェイに乗り継いで、大涌谷に向かいます。
大涌谷は、約3,000年前の箱根山の噴火でできた谷で、今も地面から噴煙が上がる「生きている火山」を間近に見られる場所です。ロープウェイのゴンドラが谷の真上を越えていく数分間は、このルートでいちばんの迫力です。
- ロープウェイからの眺め ── 早雲山を出てすぐ、足もとに白い噴煙の谷が広がります。晴れた日は正面に富士山
- 黒たまご ── 温泉池でゆでると、湯に含まれる鉄分が殻につき、硫化水素と反応して黒くなります。「1個食べると寿命が7年延びる」と言われる名物です(4個入り500円)
- 展望 ── 駅前の広場から、噴煙の谷と、天気がよければ富士山まで見渡せます
大涌谷は火山ガスが出ている場所です。ぜんそくや気管支・心臓の疾患がある方は注意するよう案内されています。噴煙の近くまで歩ける「大涌谷自然研究路」は、今は予約制のガイド付きで、1日4回・1回40分ほど(協力金800円)です。
⑤ 芦ノ湖と海賊船
大涌谷からロープウェイで下ると、芦ノ湖の北の端、桃源台に着きます。ここから箱根海賊船で湖を南へ渡ります。
山を登ってきた一日の後半に、湖の上で座って景色を眺める時間が入るのが、このルートの気持ちのいいところです。帆船を模した船体は見た目も楽しく、甲板に出れば周りの山並みと、天気がよければ富士山が見えます。
- 所要 ── 桃源台港から元箱根港まで約25〜40分。便によっては箱根町港に寄ってから元箱根港に向かいます
- 見どころ ── 元箱根港に近づくと、湖岸に朱色の「平和の鳥居」が見えてきます。次に向かう箱根神社です
- 席 ── 追加料金で乗れる特別船室もありますが、景色を見るなら甲板で十分です
⑥ 箱根神社
元箱根港から湖沿いを歩いて約10分。杉の大木に囲まれた参道を上がった先に、奈良時代の創建と伝わる箱根神社があります。
湖に立つ「平和の鳥居」は、箱根でいちばん写真に撮られる風景のひとつです。山、湖、社という箱根らしさが一か所にそろい、周遊の締めくくりにふさわしい場所です。
- 参道の杉並木 ── 階段の両側にそびえる杉が、湖畔のにぎわいから一気に静けさへ切り替えてくれます
- 平和の鳥居 ── 鳥居の下で記念撮影をする人の列ができることがあります。混んでいたら、少し離れた湖岸から鳥居と湖を一緒に撮るのもおすすめです
- 九頭龍神社(新宮) ── 境内にある新宮では、縁結びの神様として知られる九頭龍大神を参拝できます
お札所・御朱印の受付は 8:15〜17:00 です。
湯本で温泉、そして帰路
元箱根港から路線バスで山を下り、箱根湯本に戻ります。バスは国道1号を通り、宮ノ下などの温泉街を抜けていきます。
一日の最後を温泉で締めくくれるのが、日帰りで箱根に来るいちばんの贅沢です。湯本には駅から歩ける日帰り温泉がいくつもあり、帰りのロマンスカーまでの時間をそのまま使えます。
- かっぱ天国 ── 駅から徒歩約3分。露天風呂のある小さな日帰り温泉で、短い時間でも入りやすい。土休日は 21:00 まで
- 箱根湯寮 ── 森の中の広い日帰り温泉。土休日は 21:00 まで(最終受付 20:00)、おとな 2,000円(土休日)
- 駅前の商店街 ── 温泉に入らない場合は、土産物や食べ歩きで時間を過ごせます。練り物、まんじゅう、干物などが定番です
タオルは持参すると安く済みます。帰りのロマンスカーは往路と一緒に予約しておくと、夕方に慌てずに済みます。
出かける前に
- 当日朝に運行状況を確認 ── ロープウェイと海賊船は、強風・悪天候・火山ガスの状況で止まることがあります。公式の「箱根ナビ」で朝に確かめ、止まっている区間は代わりのバスを使います
- 混雑期は時間に余裕を ── 紅葉の11月や大型連休は、ロープウェイ乗り場や海賊船に行列ができ、夕方のバスは渋滞しがちです。帰りのロマンスカーを1本遅らせる前提で組むと安心
- 平日はさらに快適 ── 時刻は少し変わりますが、同じ道順で回れます。乗り場の待ち時間はぐっと短くなります
- 服装 ── 大涌谷(標高約1,000m)や湖の上は、湯本より気温が低く風も強めです。一枚羽織るものを
- 荷物 ── 乗り換えが多いので、大きな荷物は新宿駅や箱根湯本駅のコインロッカーに預けると身軽に回れます
- 朝の時間が遅い場合 ── 9時ごろの出発なら、彫刻の森美術館を省くか、温泉を省くと、同じ道順で一周できます
結 — 一枚まとめ
- 池袋 7:30 発、新宿 8:00 のロマンスカーで箱根湯本へ。夜 20:30 ごろ池袋に戻る。
- 箱根湯本から反時計回りに、登山電車 → ケーブルカー → ロープウェイ → 海賊船 → バスで一周。
- 立ち寄るのは、彫刻の森美術館・強羅(昼食)・大涌谷・芦ノ湖・箱根神社・湯本の温泉。
- きっぷは箱根フリーパス(新宿発)+ロマンスカー特急券。予算の目安はひとり約16,000円。
- ロープウェイと海賊船は天候で止まることがある。当日朝に運行状況を確認し、温泉の時間を調整用にとっておく。
参考
- 小田急 — 箱根フリーパス 料金・発売箇所
- 小田急 — ロマンスカー
- 箱根ナビ — 運行情報
- 彫刻の森美術館 — 利用のご案内
- 大涌谷くろたまご館(公式)
- 箱根ナビ — 箱根海賊船
- 箱根神社(公式)
- 箱根ナビ — かっぱ天国
- 箱根湯寮 — 料金・営業時間
- 国土地理院 — 地理院タイル一覧(地図の空中写真)
写真は Wikimedia Commons で公開されている、再利用が認められた写真を使っています。作者とライセンスは各写真の下に記しました。地図の空中写真は国土地理院、路線の形状は OpenStreetMap のデータをもとに作成しています。料金・時刻は2026年9月時点のもので、変わることがあります。
旅ノート No.1 — 箱根 日帰り周遊ルート / 2026.09