Travel Notes / 2026 ・ No.05
奥多摩 日帰りルート
東京の西の端、奥多摩湖から多摩川に沿って、渓谷と吊り橋と酒蔵をめぐる
公開
土休日の朝、東京駅からホリデー快速おくたまで奥多摩駅へ。バスで奥多摩湖に上がって小河内ダムを歩き、
駅に戻ったら、氷川渓谷の吊り橋、白丸ダムの魚道、鳩ノ巣渓谷と、多摩川の流れに沿って下っていきます。
最後は御岳渓谷の遊歩道を歩いて沢井の酒蔵・澤乃井へ。乗り物と滞在時間まで、時刻つきでまとめました。
ルートの考え方
いちばん奥の奥多摩湖まで先に上がり、あとは多摩川の流れと同じ向きに下っていくルートです。青梅線の駅をひとつずつ東京寄りへ戻りながら、駅と駅のあいだは渓谷沿いを歩きます。帰りの電車に乗るころには、山あいから少しずつ里へ下りてきています。
このルートを組むうえで考えたのは、次の三つです。
- 奥多摩湖は朝いちばんに ── 湖へのバスは1時間に1〜3本。いちばん遠い場所に朝のうちに行っておけば、帰りの時間を気にせずに済みます
- 電車は「ひと駅ぶん」だけ使う ── 奥多摩から白丸、鳩ノ巣から御嶽と、電車に乗るのは短い区間だけ。白丸〜鳩ノ巣と御嶽〜沢井は、川沿いの道を歩いてつなぎます
- 最後は酒蔵で一息 ── 歩き終えた夕方に、川を見下ろす澤乃井園で一杯。沢井駅はすぐ上なので、帰りの電車まで落ち着いて過ごせます
立ち寄るのは、地図の番号順に次の5か所です。
| 番号 | スポット | ひとことで |
|---|---|---|
| ① | 奥多摩湖 | 東京の水がめ・小河内ダムの上を歩いて渡る |
| ② | 奥多摩駅 | 山小屋風の駅舎と、駅から5分の吊り橋 |
| ③ | 白丸・鳩ノ巣 | エメラルド色の白丸湖、ダムの魚道、鳩ノ巣渓谷 |
| ④ | 御岳渓谷 | 多摩川の真横を歩く遊歩道 |
| ⑤ | 沢井 | 酒蔵・澤乃井の澤乃井園と、吊り橋の楓橋 |
一日のスケジュール
東京駅を 7:29 のホリデー快速おくたま3号で出て、9:16 に奥多摩着。午前は奥多摩湖、午後は白丸・鳩ノ巣・御岳と下って、沢井 16:56 発、青梅でホリデー快速おくたま6号に乗り換えて東京 18:36 着です。
一日の時間配分(番号は地図のスポット)
2026年10月の土曜のダイヤで確かめた一例
| 時刻 | 行程 | 交通手段・所要 | メモ |
|---|---|---|---|
| 07:29 | 東京 → 青梅 → 奥多摩(09:16) | JR ホリデー快速おくたま 1時間47分・1,410円 | 青梅で奥多摩行きに乗り換え(2分)。新宿からは 7:44 発 |
| 09:30 | 奥多摩駅 → 奥多摩湖(09:45) | 西東京バス 15分・430円 | 駅前の2番のりば。鴨沢西行きなど |
| 09:45 | ① 奥多摩 水と緑のふれあい館 | 滞在 約30分 | 無料。9:30から |
| 10:15 | ① 小河内ダムの堤頂・展望塔 | 滞在 約1時間20分 | 展望塔は 10:00〜16:00・無料 |
| 11:40 | 奥多摩湖 → 奥多摩駅(11:58) | 西東京バス 18分・430円 | 次は 11:58 発(12:15 着) |
| 12:00 | ② 奥多摩駅のまわりで昼食 | 約50分 | そば、定食、カフェなど |
| 12:50 | ② 氷川渓谷の吊り橋 | 約20分 | 駅から徒歩5分 |
| 13:14 | 奥多摩 → 白丸(13:16) | JR青梅線 2分・160円 | ひと駅だけ乗る |
| 13:20 | ③ 数馬峡橋・白丸ダムの魚道 | 滞在 約50分 | 魚道は4〜11月の土日祝 10:00〜16:00 |
| 14:10 | ③ 鳩ノ巣渓谷 → 鳩ノ巣駅 | 約45分 | 白丸駅から鳩ノ巣駅まで約3km |
| 14:57 | 鳩ノ巣 → 御嶽(15:09) | JR青梅線 12分・210円 | 1本あとは 15:31 発 |
| 15:10 | ④ 御岳小橋・御岳渓谷 | 滞在 約30分 | 駅から川へ下りてすぐ |
| 15:40 | ④ 遊歩道を沢井へ | 徒歩 約30分(約1.8km) | 多摩川のすぐ脇の道 |
| 16:10 | ⑤ 澤乃井園・楓橋 | 滞在 約45分 | きき酒処は16:30まで |
| 16:56 | 沢井 → 青梅 → 東京(18:36) | JR青梅線+ホリデー快速おくたま 1時間40分・1,230円 | 青梅 17:27 発。新宿は 18:22 着 |
ホリデー快速おくたまは土曜・休日だけの列車です。平日は中央線で立川へ出て青梅線に乗り換えます(東京から奥多摩まで2時間ほど)。10月中旬の日の入りは17時過ぎ。山あいは早く暗くなるので、遊歩道は16時半ごろまでに歩き終えるつもりで。
きっぷと予算
JR の運賃は4回で合わせて 3,010円。土休日なら、奥多摩まで乗り降り自由の「休日おでかけパス」(2,950円)のほうがわずかに安く、途中の駅で何度降りても運賃を気にせずに済みます。バスは別料金です。
| 項目 | おとな1人 | メモ |
|---|---|---|
| JR 東京 → 奥多摩 | 1,410円 | ICカードなら1,408円 |
| JR 奥多摩 → 白丸 | 160円 | ICカードなら155円 |
| JR 鳩ノ巣 → 御嶽 | 210円 | ICカードなら209円 |
| JR 沢井 → 東京 | 1,230円 | ICカードなら1,221円 |
| (JR のかわりに)休日おでかけパス | 2,950円 | 土休日など。東京〜奥多摩の JR が1日乗り放題 |
| 西東京バス 奥多摩駅 ⇄ 奥多摩湖 | 860円 | 片道430円×2 |
| ふれあい館・展望塔・魚道 | 無料 | |
| 澤乃井 きき酒処 | 300〜600円 | 1杯ごと。おかわりは100円引き |
| 昼食・軽食 | 1,500〜2,500円 | |
| 合計の目安 | 約6,000〜7,500円 | おみやげ(地酒など)は別 |
中央線の快速には、東京〜青梅のあいだにグリーン車があります(Suicaグリーン料金1,000円、休日おでかけパスでも別に必要)。料金は2026年3月の運賃改定後の額で、2026年10月時点の公表額・検索結果です。
ホリデー快速おくたまで奥多摩へ
朝の東京駅、中央線のホームからホリデー快速おくたまに乗ります。新宿・中野を出ると、立川からは青梅線へ。青梅で奥多摩行きに乗り換えると、車窓は一気に山の景色に変わります。
青梅〜奥多摩の区間には「東京アドベンチャーライン」という愛称がついています。多摩川の谷に沿って、鉄橋とトンネルを繰り返しながら山へ分け入っていく路線です。車窓からは、ところどころで眼下に多摩川の谷がのぞきます。
終点の奥多摩駅は、東京都でいちばん西にある駅。標高は約343mで、東京駅から2時間足らずなのに、空気がはっきり違います。
① 奥多摩湖 ── 小河内ダムを歩く
駅前の2番のりばから、鴨沢西行きなどの西東京バスで15分。終点ではなく「奥多摩湖」バス停で降りると、目の前が湖とダムです。
奥多摩湖は、小河内ダムで多摩川をせき止めてできた人造湖です。ダムは1938年に工事が始まり、戦争による中断をはさんで1957年に完成。高さ149m、有効貯水量は約1億8,540万m³で、東京の水道の水源の約2割を受け持っています。ふだん蛇口から出る水の、そのおおもとの一つです。
- 奥多摩 水と緑のふれあい館 ── バス停の目の前にある東京都水道局の展示施設。水源の森やダムの仕組みを、映像や体験型の展示で紹介しています(9:30〜17:00、水曜休館、無料)
- ダムの堤頂 ── ダムのいちばん上、長さ353mの堤頂を歩いて対岸へ渡れます。片側は湖、反対側は149m下の谷。足がすくむほどの高さです
- 展望塔 ── 対岸側の展望塔からは、湖とダムの下流の両方を見渡せます。2階にはダム工事の歴史の展示も(10:00〜16:00、無料)
堤頂を往復したら、湖畔を少し歩いてバス停へ。風のない日は、湖面に山がそっくり映ります。
ふれあい館の中にはレストラン(10:00〜16:00)もあります。帰りのバスを1本遅らせて、湖を見ながら早めの昼食にするのも手です。
② 奥多摩駅 ── 昼食と氷川渓谷
バスで奥多摩駅に戻ったら、駅のまわりで昼食を。駅前から旧青梅街道にかけて、そば屋や食堂、カフェ、クラフトビールの店などが点在しています。
食後は、駅から南へ5分歩いて氷川渓谷へ。多摩川と日原川が合わさるところで、川面の上に氷川小橋と登計橋の2つの吊り橋が架かっています。
駅からすぐの場所で、吊り橋の上から渓谷を見下ろすことができます。奥多摩観光協会の「奥多摩ふれあい森林浴コース」の一部で、時間があれば川沿いの遊歩道を40〜50分かけて歩くこともできます。この日は吊り橋を渡って、次の電車に戻ります。
③ 白丸ダムの魚道から鳩ノ巣渓谷へ
奥多摩駅から青梅行きでひと駅、2分で白丸です。小さな無人駅から坂を下り、数馬峡橋を渡ると、眼下にエメラルドグリーンの水がたまった白丸湖が見えてきます。
白丸ダムには、ダムで川をさかのぼれなくなった魚のための魚道があります。2002年に完成した日本最大級の魚道で、全長331.8m、高さの差27mを、階段状の水路で少しずつ上れるようにしてあります。見学できる日は、らせん階段で地下へ下りて、魚道を間近にのぞけます。
- 見学できる日 ── 4月〜11月の土日祝日(夏休み期間は毎日)、10:00〜16:00
- 階段に注意 ── らせん階段はかなりの段数があります。足に自信がなければ、ダムの上から眺めるだけでも
ダムからさらに東へ、川沿いの道を20分ほど歩くと鳩ノ巣渓谷です。巨岩のあいだを多摩川が白く泡立って流れ、その上を鳩ノ巣小橋という吊り橋がまたいでいます。橋からは渓谷を上からのぞき込めます。
渓谷から階段を上がれば、10分ほどで鳩ノ巣駅です。白丸駅からここまで、寄り道を入れて1時間半ほどの道のりです。
④ 御岳渓谷 ── 川沿いの遊歩道
鳩ノ巣から青梅行きで12分、御嶽で降ります。寺社のような造りの駅舎は、御岳山と武蔵御嶽神社への玄関口です。
駅前の道を渡って坂を下りると、すぐに多摩川の河原。御岳小橋のたもとから、下流の沢井まで、川のすぐそばを御岳渓谷遊歩道が続いています。
御岳渓谷の遊歩道は、多摩川の両岸に約4kmにわたって整備された道です。大きな岩のあいだを青い水が流れ、カヌーやラフティングのボートが下っていくのを横に見ながら歩けます。この日はそのうち、御嶽から沢井までの約1.8kmを、流れと同じ向きに下ります。
- 玉堂美術館 ── 御岳小橋のそばにある、日本画家・川合玉堂の美術館。時間に余裕があれば(3〜11月は10:00〜17:00、月曜休館、500円)
- 紅葉 ── 遊歩道のモミジは、例年11月中旬〜下旬ごろが見頃。この時期の週末は人が多くなります
⑤ 沢井 ── 澤乃井園と楓橋
遊歩道の終わりに見えてくる吊り橋が楓橋(ふうきょう)です。渡った先の対岸には小さなお寺・寒山寺。どちらも、中国・蘇州の寒山寺と、唐の詩『楓橋夜泊』にちなんで名づけられました。
楓橋のたもとが、酒蔵小澤酒造の清流ガーデン澤乃井園です。小澤酒造は1702年(元禄15年)創業。「澤乃井」の銘柄で知られる、東京の地酒の蔵元です。
歩き終えたあとに、多摩川を見下ろす席で一杯。この日のルートの締めくくりにふさわしい場所です。園内のきき酒処では、約10種類の酒を1杯300〜600円で飲み比べられます。お酒が飲めない人向けの飲み物や軽食もあります。
- きき酒処 ── 10:30〜16:30。月曜休(祝日の場合は火曜)
- 澤乃井園 ── 10:00〜17:00。売店では地酒などのおみやげも
- 沢井駅へ ── 園から青梅街道を渡り、坂を上って徒歩約5分です
状況に応じて組み替える
行く曜日や季節、足の具合によって組み替えましょう。いちばん効いてくるのは曜日です。ホリデー快速と白丸ダムの魚道の見学は土休日だけ、澤乃井と玉堂美術館は月曜休み、ふれあい館は水曜休みです。
| こんなとき | こうする |
|---|---|
| 酒蔵見学もしたい | 小澤酒造の酒蔵見学(約40分・700円、前日までにネット予約)は、土日祝は 11:00・12:30・14:00 の3回。白丸・鳩ノ巣を省いて奥多摩 13:14 発で沢井へ直行すれば(13:34 着)、14:00 の回に間に合います |
| 紅葉の時期に行く | 奥多摩湖畔の紅葉は例年10月下旬〜11月下旬。週末はバスも道も混むので、湖へは 9:00 発のバスで早めに |
| 平日に行く | ホリデー快速はなく、中央線で立川、青梅線に乗り換えて奥多摩へ。魚道の見学はできないので、白丸ダムは外から眺めます。平日は奥多摩駅から日原鍾乳洞行きのバスもあります |
| 山にも登りたい | 御嶽駅からバスとケーブルカーで御岳山へ。武蔵御嶽神社まで往復すると半日かかるので、奥多摩湖を省いて組み直します |
| 疲れた・時間が押した | 白丸〜鳩ノ巣は電車でひと駅(5分)。御嶽〜沢井も電車なら4分です |
| 雨の日 | 渓谷の道は滑りやすく、増水した川辺は危険です。ふれあい館・玉堂美術館・澤乃井園を中心に、歩く区間を短く |
出かける前に
- 歩きやすい靴で ── 渓谷の遊歩道は、岩場や階段、木の根の出た道が続きます。この日は全部で8km前後歩きます
- クマに注意 ── 奥多摩の山あいでは、クマの目撃情報が出ることがあります。出かける前に町や市の情報を確かめ、鈴などで音を出しながら歩きましょう
- 帰りの電車は早めに確認 ── 青梅〜奥多摩は日中30〜40分に1本ほど。乗り遅れると次まで待つことになるので、駅に着く時刻から逆算して動きます
- 飲んだら川に近づかない ── きき酒のあとの河原歩きは控えて。沢井駅へまっすぐ向かいましょう
- 時刻は必ず確認 ── この記事の時刻は2026年10月の土曜のダイヤで調べた一例です。平日・休日で変わるので、前日に乗換案内で確かめてください
結 — 一枚まとめ
- 東京 7:29 のホリデー快速おくたまで奥多摩 9:16 着(土休日)。帰りは沢井 16:56 発、青梅で乗り換えて東京 18:36 着。
- 朝いちばんにバスで奥多摩湖へ。ふれあい館、小河内ダムの堤頂と展望塔。どれも無料。
- 奥多摩駅で昼食、氷川渓谷の吊り橋。ひと駅乗って白丸から、白丸ダムの魚道と鳩ノ巣渓谷を歩いて鳩ノ巣駅へ。
- 御嶽から御岳渓谷の遊歩道を下り、楓橋を渡って澤乃井園で一杯。
- 予算はひとり約6,000〜7,500円。きっぷは休日おでかけパスが少しお得。魚道とホリデー快速は土休日だけ。
参考
- JR東日本 — 休日おでかけパス
- 西東京バス — 奥多摩駅のりば案内
- 東京都水道局 — 奥多摩 水と緑のふれあい館
- 東京都水道局 — 小河内ダム
- 奥多摩観光協会 — 氷川渓谷遊歩道マップ(PDF)
- 広報東京都 — 鳩ノ巣渓谷〜白丸
- 青梅市観光協会 — 御岳渓谷遊歩道
- 澤乃井 — 酒蔵見学
- 澤乃井 — きき酒処
- 国土地理院 — 地理院タイル一覧(地図の空中写真)
写真は Wikimedia Commons で公開されている、再利用が認められた写真を使っています。作者とライセンスは各写真の下に記しました。紅葉の写真は撮影時期が11月のもので、10月中旬はまだ緑が中心です。地図の空中写真は国土地理院、道と線路の形状は OpenStreetMap のデータをもとに作成しています。時刻は NAVITIME の乗換案内とバス時刻表で2026年10月の土曜のダイヤを調べたもの、料金・時間は2026年10月時点のもので、変わることがあります。
旅ノート No.5 — 奥多摩 日帰りルート / 2026.10